メンズヘルス [性同一性障害 GID]

性同一性障害とは

生物学的概念として男女いずれかの身体形状に属す身体を持つにも拘らず、性に関する自己認識(自分が男であるのか女 であるのかという自己意識)と、出生時に判別される外性器ないしこれに由来する身体の性別とが一致しない状態にあることをいいます。性同一性障害は同性愛 と混同されることがありますが、同性愛が,もっぱら性的指向が異性に向かず同性に向かう状態のことを指すのに対して、性同一性障害は性に対する自己認識自 体が身体的性別と合致しておらず、その結果として性的指向にも影響がもたらされることが多いという点で、両者は異なるものです。
性同一性障害であっても、その症状の軽重は個々のケースによって異なり、自己の外性器に対する違和感の程度が比較的軽い場合には、異性装(クロス・ドレッ シング)を行うことで耐えられることもあります。しかし、自己の外性器に対する違和感・嫌悪感が非常に強く、耐え難い場合には外科的処置が必要となること があります。
こちらではメンズヘルスということで生まれながらの性が男性であるにもかかわらず、男性性器に対して違和感が強い場合の治療について主に説明します。

MTF male to female

睾丸摘出術

睾丸は陰嚢内に左右存在します。精子を運ぶ管である精管と動静脈および睾丸導帯が睾丸に結合しています。したがって、精管および動静脈を切り離し、睾丸導帯を切開すれば睾丸を摘出できます。陰嚢の中央部の縫線を2~3センチ切開し、左右の睾丸を摘出します。

女性ホルモン補充

2~3週間ごとに女性ホルモンの注射を行います。睾丸摘出後はホルモン補充をしないと更年期障害を発症するので女性ホルモン補充が必須です。通院が難しい場合は内服薬を服用してもいいです。
 ホルモン補充療法を行う場合は半年ごとに血液検査をして、ホルモン値や健康チェックをする必要があります。

陰茎・陰嚢切除

陰茎・陰嚢の切除をし、外陰部を女性外陰部の形態にする手術です。1ー2週間は尿道カテーテルが挿入されます。陰茎・陰嚢切除のみの場合は入院治療の必要性はないですが、同時に造膣術をする場合は入院治療が必要になります。当院では造膣術は行っていません。

豊胸手術

シリコンバッグ挿入、脂肪やヒアルロン酸、アクアフィリングの注入などがあるが、MTFの場合は一般的にはシリコンバッグ挿入がベターです。

顔面形成

男性的な輪郭を女性的な丸みを帯びた形に形成する場合があります。エラや顎、頬骨削りや頬の脂肪注入、額の脂肪やシリコン挿入で丸い額の形成などがあります。

医療脱毛

体毛やヒゲのレーザー脱毛。体毛の場合は2か月ごとに5~10回の治療が必要です。ヒゲの場合は2週間毎に10回ほどの治療で永続的な脱毛になります。