男性更年期障害 LOH症候群とは
男性更年期障害はメンズヘルス学会ではLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)と呼ばれ、精神面では、倦怠感、不安、いらいら、うつ、集中力低下、性欲減少、認知症などがあり、肉体的には筋力の低下や筋肉痛、疲労感、性的な機能の低下(ED)、ほてり、血行不良、肥満(メタボリック)などの症状が現れます。
原因はテストステロンと呼ばれる男性ホルモンの低下が主要因とされています。このテストステロンは主として精巣分泌され、男性らしい身体を作るほか、脳の働きを活性化しやる気や判断力を高めることが解ってきています。
男性ホルモンは年齢とともに減少するものですが、人によっては年齢相応以上に減少がすすみ、何の手も打たなければ「男性らしさ」の特徴である身体機能が低下し、メタボリックやED、睡眠障害などの生活習慣病の危険性が高くなると考えられています。
身体症状
筋力の低下、身体的疲労感、性欲の低下、勃起不全、体毛が減る
精神的症状
無気力、抑うつ感、イライラ感、不安感など
治療方法
症状の段階にあわせた治療を行います。遊離テストステロン値が8.5pg/ml未満と症状が重い場合は男性ホルモン補充療法(注射、グローミン軟膏)と、ビタミン補充(高濃度ビタミンC点滴、ニンニク注射)などを併用して治療を行います。
男性ホルモン補充療法
治療の流れ
1.問診(AMSスコア)と、血液検査・遊離男性ホルモン値測定をおこないます。)
2.後日、検査結果と治療方法について説明を行います。男性ホルモン補充療法が必要と診断された場合、症状に合わせ2~4週毎に注射を行います。外用剤をご希望の場合は、自宅で決まった時間に男性ホルモン製剤を塗布します。
3.定期的に血液検査を行い、健康チェックとホルモン値の変化を調べます。
男性ホルモン補充を受けられない場合
前立腺癌、肝機能障害、睡眠時無呼吸症候群などの場合はホルモン補充療法は慎重に検討する必要があります。
ビタミン補充療法
高濃度ビタミンC
ビタミンCは体内で自ら生成することのできないビタミンで、コラーゲンの生成や抗酸化物質としての働きなど重要な役割をはたします。ビタミンCが欠乏すると身体的症状としてだるさや疲れやすさ、精神的症状として塞ぎこみ、無気力、イライラ、うつなどがあらわれます。これらの症状は男性更年期障害にみられる症状と重なります。
点滴により食事やサプリメント・内服薬での経口からのは摂取できない大量のビタミンCを取り込み血漿濃度を急激に上昇させることでこれらの諸症状の緩和に効果が見込めます。加えて美肌効果・アンチエイジング効果も期待できます。
ビタミンB群
栄養ドリンクなどでおなじみのビタミンB1誘導体フルスルチアミンを注射する治療です。注射時に一時的ににんにくの様な匂いがするため、このように呼ばれるようになりました。
ビタミンB1は水溶性のため調理中に食材から失われることもおおく不足しがちです。不足すると糖質を分解してエネルギーにすることができなくなります。また筋肉に蓄積される疲労物質である乳酸が除去できなくなるため、全身に倦怠感の症状があらわれます。
にんにく注射を行うことで男性更年期障害の症状の一つである疲労・倦怠感からの回復が期待できます。